「上野誠教授の講演を聴いて」 2014-6
連休の最中5月4日(日)に上野誠・奈良大学文学部教授の講演を聴く機会に恵まれた。
日曜日の午後、基調講演「歴史に生きる、万葉集に生きる」と題して約150名(約60名の若者達を含め)の参加者を前にして始まった。
講演の際は、遅れても早すぎても主催者側に迷惑をかけるという思いから、いつも会場の近くの喫茶店で時間調整をして会場に入られるとのことである。
ところが、今回はゴルフ場内のホテルということで、近所に喫茶店がないのでそのホテルのレストランで時間待ちをすることにしたそうである。
「待ち時間の間、レストランで聞き耳を立てていたわけではないのですが。」と繰り返され、「こんな連休の最中に・・・。」「上司に言われて・・・」「得意先に言われて・・・」等参加者の声を耳にしたことから話が始まった。会場から大きな笑いが漏れる。
その後、演壇から降りて、聴衆の最前線辺りで講演が進められた。
「歴史に生きる、万葉集に生きる」という題であるから、少し眠くなるのかなと思ったのは私一人ではないであろう。
ところが「オランダのアムステルダムの駅」「東京駅」「みおつくし」この単語を覚えておいてください・・・・・。
「ボーブラ(ポルトガル語)」「カンボジア」「かぼちゃ」この単語を覚えておいてください・・・・・。
「カード」「カルテ」「かるた」この単語を覚えておいてください・・・・・。
これらの言葉の関連を詳しく話された。それは、日本が、世界の各国の秀でた部門を日本に取り入れた歴史を物語っているとのことであった。
レジメの「はじめに」に次のことが書かれており、その流れにより進められた。
*寺子屋が、日本の識字率を高めた。
*明治の近代化を担う適塾、松下村塾…など。
*ドラッカー(世界的経営学者)の日本への提言「変化を恐れるな、変化の主人公になれ」
*変化をチャンスととらえる。
*7,8世紀の日本人は如何に生きたか。
*「万葉集」にその意識を探る。
*歌が映す心・・・歌は世につれ。
*歴史が伝えないものもある。
日本の良さは、国民すべてが地方においても母国語である。(よって識字率が高い)
1)701年は、大宝律令完成の年である
学問、芸術、法律、制度は、中国から7~8世紀に学んだ。
歴史は学ぶものであると同時に、つくるものである。(政治家は歴史を知らねばならない)
後世の歴史家の批判にこたえられるかの判断基準。
2)大宝律令が施行された都「藤原京」
季節の到来を、初めて詠まれた天皇の御製歌「春過ぎて 夏來るらし 白たへの衣干したり 天の香具山」(春が来て、夏が来るらしい 真白な衣が干してあり天の香具山のふもとに都ができた 中国に追いついた)
3)わが作る日の御門(自分たちが主体で新しい都をつくる)
「あおによし 奈良の家には 万代にわれも通はむ 忘ると思ふな」
後の松尾芭蕉の「ひとつやに 遊女も ねたり 萩の露」(宿が一軒しかない旅先、しかも大部屋しかなく、遊女も同じ部屋で・・・)が引き合いに出され、「も」が連帯感を表し如何に大切であると説明された。
この当時は、新羅の国に惨敗した時代である。
「どんな社会でも、矛盾を抱えているものである。自分がやらないと何も変わらない。」
物事は、歴史が示すように後追いするものである。今日本が直面する「少子高齢化」問題も、やがて中国、韓国が後追いをするであろうと語られた。
「皆さんは、未来から来た留学生である。今日の出会いは、連休の最中にも関わらず自分自身の時間投資をした20~30歳の時代、必ずや10年、20年後にはあなた方に託す時代がくる。」と語られて、講演「歴史に生きる、万葉集に生きる」を締めくくられた。
今、北京ではPM2.5の環境問題が大きな問題になっているが、日本も光化学スモッグで大きな問題になった時期があったことを思い出す。
又、3年前の東日本大震災、これも世界の見本になる日本の運命なのであろうか。
2014-6-1
Y.YOSHIHARA
PS―ある時タクシーに乗ると、NHKの長寿ラジオ番組「ラジオ深夜便」の放送をよく聞いておりますが、上野さんですかと尋ねられた。「いつもいい声を聴かせていただいている。」とのことであったが・・・(笑いを誘う)。
私は、理工学部であったのでこのような楽しい授業に恵まれなかったが、久しぶりに若者の仲間と学生時代に戻ったような気持ちでその時を過ごすことができた。
私も50数年前、新幹線開通、東京オリンピック代々木体育館の工事見学、NHKのテレビ番組「プロジェクトX(第1回目)」の富士山レーダー基地(台風の予知施設)建設に参加した事などの学生時代を思い出しながら・・・。
今回の講演は、ロータリークラブ主催の若者(18歳~30歳男女・2泊3日)のリーダー研修(RAYL)の初日に行われた初級コースの行事の一環である。
秋には、上級ライラが開催される。その時の実行委員長を仰せつかった私は、準備でいろいろ考えると血圧が上る毎日である。
講演中の上野誠教授
上野誠教授
1960年福岡県生まれ
国学院大学大学院研究科博士課程満期退学 博士(文学)
奈良大学文学部教授
国際日本文化研究センター客員教授
第12回日本民俗学会研究所奨励賞
第15回上方文学芸賞受賞
第7回角川財団学芸
「古代日本の文芸空間」雄山閣出版
「万葉体感紀行」(小学館)
「大和三山の古代」(講談社現代新書)
「魂の古代学―問い続ける折口信夫」(慎重選書)
「万葉挽歌の心―夢と死の古代学」(角川学芸出版)など著書多数
万葉文化論の立場から、歴史学、民俗学、考古学などの研究を応用した「万葉集」の新しい読み方を提案。近年執筆したオペラの脚本も好評を博している。
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今月のひとこと 「山より大きな猪は出ない」
「誇張にも、ほどがあるということ」
「入れ物より大きな中身は入っていないのたとえ」
京都トヨタ自動社㈱ 社長 森川莫臣氏の解釈
「どんな大変だと思うことがあっても、物事の大変さは限度があって、一生懸命取り組めば、取り組む前に思っていたほどの大変さではない」「どうして解決しようかと、胃のきりきり痛むような問題でも、終わってみればそれほどのことでもない」
「どんな難問でも、あたってくだけろ。あとは時間が解決してくれるものと信じている。」
PHP研究所著「私を支えた言葉」より
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コメント
モモちゃんは元気です。
投稿: ペッTのお店パートナー | 2014年6月17日 (火) 10時53分